2008年に公開され、第32回日本アカデミー賞を受賞した映画【おくりびと】
納棺師という仕事について深く知る機会にもなり、「死」というものは誰もが迎える「生」と表裏一体の身近なものなんだと教えてくれた映画でした。
本記事では、おくりびとを10回は見たであろう筆者が、名シーンを厳選し、皆様にご紹介したいと思います。
「おくりびと」簡単なあらすじ
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収まる仕事。当初は戸惑った大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしていく。
「おくりびと」名シーンをランキングで振り返ろう!
では、映画「おくりびと」の名シーンをランキング形式でご紹介します。
ランキングは筆者の独断と偏見で選定しています。
5位:故人の旦那さんから感謝の言葉
NKエージェント社長の佐々木と大悟は若い奥さんの納棺の仕事依頼を受け、現場に向かうが、少し遅刻してしまう。
依頼者の旦那さんからひどく叱責され、納棺師の仕事についても「お前ら、死んだ人間で食ってんだろ」とバカにされる。
しかし、流れるような佐々木の納棺の丁寧な仕事ぶりを家族は食い入るように見ていました。
故人にお化粧をしている時「奥様が使われていた口紅はございますか?」と遺族に聞いた。
すると、娘さんが部屋から口紅を持ってきて、その口紅で最後の仕上げをする。
仕事を終えて帰ろうとすると、旦那さんに呼び止められ謝罪される。
「ひどいことを言ってすみませんでした。あいつ、今までで1番きれいでした。ありがとうございました。」
4位:銭湯のおばちゃん
大悟の幼馴染である山下の母は街で小さな銭湯を営んでいた。
そのおばちゃんが、仕事中に倒れそのまま亡くなってしまう。
依頼を受けた大悟ら、妻と山下が見る中、納棺の儀を始める。
その所作の美しさ、思いのこもった仕事ぶりに妻や山下の納棺師に対しての気持ちが変わっていく。
最後に、おばちゃんが昔から巻いていたバンダナを首に巻いてあげる大悟だった。
3位:銭湯の常連の平田さん
銭湯のおばちゃん(ツヤ子さん)が火葬される火葬場にいたのは銭湯の常連さん平田さんだった。
昔から付き合いのあった銭湯のおばちゃんが亡くなったことでひどく疲弊していた。
葬儀の日、火葬場で係員として立ち会っていたのは、銭湯の50年来の常連の平田さんでした。
彼はツヤ子さんに囁いたのです。
「ありがとの。また会おうの。」
2位:生きるということは食べるということ
大悟は納棺師の仕事をし、依頼者から酷い事を言われ、妻からも見放され、幼馴染からは「もっとましな仕事につけ」と言われ、この仕事を辞めることを社長に伝えようと社長室を訪ねます。
社長は食事をしていました。
大悟に「食ってけよ。俺の方が(妻より)うまいぞ。多分。」と言い2人で食事をします。
網の上で焼いていたのはフグの白子でした。
そしてそのフグの白子を持って社長はこう言います。
「これだってご遺体だよ。生き物が生き物を食って生きている。どうせ食うなら美味い方がいい」
「死と生」は表裏一体でとても身近なことなんだと気付かされるシーンでした。
1位:父の納棺
小林家に一通の電報が舞い込みました。
それは亡くなった大悟の母宛の父の訃報と、遺体の引き取りを希望するというものだったのです。
「でも、今更父親って言われても、30年以上も会ってないんだぜ」と戸惑いを隠せず、拒絶しようとした大悟でしたが、実は父親はとある漁港で1人暮らしをしていたのだと言います。
妻や上村さんに説得され、父のもとに向かうことを決めた大悟。
葬儀屋が納棺を始めようとしますが、そのあまりの雑な仕事に思わず大悟は言いました。
「僕にやらせてもらえませんか?」
そして美香も口添えをしました。
「夫は納棺師なんです」
今まで、夫の仕事に引け目を感じていた妻でしたが、納棺師としての夫を誇らしげに言いました。
心を込めて父の遺体を清めていくと、その手からぽろりと丸い石が転がり落ちました。
それはもしかしたら、大悟に渡したかった形見だったのかもしれません。
そんな夫の仕事を、美香は黙って静かに微笑んで見守っていてくれていました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
邦画はあまり見ない筆者ですが、【おくりびと】は日本ならではの思いやりを感じる深いいい映画でとても大好きです。
邦画だからと毛嫌いしている方にはぜひ見ていただきたい映画ですね。
主演の本木さんの美しい所作は見応えありです!